熟年離婚奮闘記「第1話 家を出る」

離婚編

第二の人生のはじまり

あの時夢中で走った。
長年共にしたバイクで。
一刻も早く家を出るために。
そして我が子を守るために。


離婚を本気で意識し始めてから、半年近く新居を探し回りました。

家庭内が離婚モードになると、自宅に居るのは何とも辛いもので、一刻も早く家を出る事ばかりを考えていました。

親の不仲や喧嘩のせいで、子供達を自室にしか居られない状態にさせ、とてもかわいそうでしたし、こんな家庭にしてしまった事を申し訳なく思い苦しかった。

自分の家なのに、まるで他人の家に居るようで、心も身体も休まる時がありませんでした。

子供達もそんな風に感じていたと思います。

そんな生活を一日も早く変えたかった。

夫婦が仲良くなれば解決する事なのに、いつしか修復は不可能な状態になっていました。



新居探しは思ったより簡単にはいきませんでした。

フルタイムで仕事をし、家事をこなしながらの物件探しはとても厳しく、時間がいくらあっても足りませんでした。

仕事の休憩中や布団の中など、時間さえあれば物件を検索し、退勤後や休日などはバイクで不動産巡りをして、常に物件の事で頭の中はいっぱいでした。

限られた時間の中で内見の予約を取り、1日で数件を巡ったり一人で直接空き家を探したりしました。

ところが、3人が暮らせるような間取りと、猫2匹連れの条件が合う物件がなかなか見つかりませんでした。

限られた予算と、部屋数、立地、家族の通勤距離、全てを考慮すると更に物件探しは難航しました。



それは突然のこと、条件が合う物件の新着情報が目に飛び込んで来ました。

半年かけてやっと見つけたその物件は、中古の分譲マンションでした。

すぐに担当者に連絡を入れ待ち合わせをし、30分後に内見の予約を取りました。

他にも希望者がいて、早く決まる物件らしいとのことでした。

内見し、説明もたいして聞かないうちにその場で決定してしまいました。

それだけ切羽詰まっていたからです。

物件は、こんな私でも住宅ローンを組む事が出来る金額でした。

それからは色んな事が目まぐるしく決まっていき、悩んでいる暇も無いくらいに忙しい日々を送る事になります。

これから先に待ち受ける住宅ローンなど気にもせず、マンション取得の為にがむしゃらに行動しました。

あの家を早く出るために。
そして過去から逃れるために。
離婚に向けての第一歩。
熟年離婚のはじまりです。
明けない夜はない、迷ったら進もう
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